2008年 10月
第四回 妖怪仮装行列 「一条百鬼夜行」
今は昔…
一条通りで鬼を見たという人がいた。
その後、都に疫病が流行ったので、人々は果たしてあの鬼は凶事の兆しであったかと噂した。
(徒然草)
美女に化け人を誑かす狐があるという噂があった。
それを聞きつけたある武士が馬に乗りその場所に赴くと、夜半にもかかわらず美女が一人佇んでいた。
噂どおり、かの者こそ妖狐であろうと、武士はその美女を馬にくくりつけ、仲間の待つ宮城へ向かうため一条通り東へと馬を走らせた。
途中、前方に多くのかがり火や牛車が見えたので、高貴な人の行列であろうと武士は道を迂回した。
無事宮城にたどり着くと、武士は妖狐を捕らえたと仲間に告げ、女は恐ろしいと泣き叫んだ。
武士は女が逃げれば射殺すべきであると仲間に伝え矢をつがえさせて、馬にくくりつけていた美女を解き放った。
次の瞬間、女は狐の姿に変じた。
やはり妖狐であったかと武士は太刀に手をかけるが、宮城のかがり火が消えあたりは暗闇に飲み込まれた。
人の気配もせず、乗ってきた馬も居ない。
武士は宮城ではなく葬送の地である鳥辺野の闇の中に一人立っていた。
(今昔物語)
ある男が夜中に一条通りを歩いていると前方から行列がやって来た。
高貴な方々の行列であるかと男は一条戻り橋の下に身を隠した。
しかし、それは人ではない異形の鬼の集団であり、男は魂消て息を殺した。
一団が橋の上を通り過ぎようとしたとき、一人の鬼が男に気付きここに人がおるぞと叫んだ。
果たして男は、鬼どもの前に突き出され死を覚悟したが、鬼どもは命を取ることはしないと言い、寄ってたかって男に唾を吐きかけた。
世にも恐ろしい目にあった男は自宅に帰り、妻に事の次第を打ち明けるが、男の声は妻の耳に届いていなかった。
男の声は誰にも届かず、その体も透明になってしまっていた。
(今昔物語)
ある男女が、一条通りの桟敷屋(物見用の高い建物)で一夜を過ごしていると「諸行無常 是正滅法…」と、涅槃経を詠じながら大路を行進する異形の群れが現れた。
男女が震えていると、長身の馬頭鬼が桟敷屋を覗き込んだ。
(宇治拾遺物語)
時の関白が夜中に供を引き連れて、一条通りを西へ歩いていると、前方から異形の群れが現れた。
関白一行は戦々恐々であったが、関白の着物の内側に縫い付けられていた「尊勝陀羅尼」の護符の霊験により異形の群れは逃げ去った。
その異形の群れは、煤払い(大掃除)の際に打ち捨てられた古道具が変化したもの(これを付喪神という)であり、彼らは変化の神を祭る祭礼行列を行っていたという。
(付喪神記)
どうやらこの一条通りは、古より様々な異形のモノが出没する場所だったようである。
狐狸妖怪に魑魅魍魎、百の鬼が夜を行くと書いて「百鬼夜行」。
一条通りは、この百鬼夜行の通り道であったのだ。
そして、今夜は夜行日…。
<大将軍八神社>
その日、人々は秋祭りを楽しんでいた。
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<一条通り某所>
一方その頃、異形のモノたちが今か今かと出番を待つ。
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<町へ>
いよいよその時がやって来る…。
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<百鬼夜行>
人と鬼とが入り混じり、歓声、嬌声、悲鳴が響く
人界異界の境界無用、奇奇怪怪の大宴怪。
百鬼夜行もこれにて仕舞い。
明日から一条通りは日常へ回帰する。
しかし、怪を語れば、怪至る。
怪好む人がある限り、百鬼夜行は不滅である。
写真提供:具志のぞみ、河野千裕
2008年「一条百鬼夜行」
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「主催」
大将軍商店街振興組合
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「出演」
京都嵯峨芸術大学 立命館大学
学生有志のみなさん
その他 一般参加のみなさん
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「協力」
京福電気鉄道株式会社
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「演奏」
和太鼓サークル 和太鼓ドン
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「特別協力 お面提供」
お化け人形師 中田市男
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「妖怪デザイン」
妖怪藝術サークル オボログルマ
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