浄蔵
一所に留まらず旅を続けたさすらいの法力僧。
浄蔵は、羅城門の鬼が源博雅に与えたという名笛「葉双(はふたつ)」を帝から下賜された笛の名手にして、
仏法を守護するために遣わされた不動明王の眷族「護法童子」を自在に使役する古今無双の法力僧であった。
ある時、父の危篤を聞きつけ、急ぎ父の元に向かうも間に合わず、一条堀川の橋の上で父の葬列に出くわしてしまった浄蔵は、
一心不乱に祈祷を行い、父を蘇らせて数日間生きながらえさせたという。
以来その橋は、死人が現世に戻る橋「戻り橋」と名付けられたとか。
またある時は、夜間、自室に忍び込んできた盗賊たちを金縛りにして、明朝までこんこんと説教をして帰したり、
傾いてしまった八坂の塔を、法力により風を吹かせて元に戻したりと、その法力譚は数知れない。